(FAQ9)
早春のドジャーのタクティクス
ドジャーと小型スプーンの組み合わせのメリットは既に何回か触れましたが、
雪解け頃の山岳湖のような低水位時には、別の意味でもかなり有利な
タクティクスとなるため、あらためてご紹介します。

一般にドジャーは、反射光と左右の振幅運動により広い範囲から集魚するとともに、
振幅運動に伴うジギング作用により、ルアーのアクションに不規則なアクセントを
与えることができます。

しかし、これ以外にも見逃せないのが、
ドジャーの重みと抵抗によるラインリリースの容易さです。

ワカサギの生息する山岳湖では、ワカサギたちは雪代の頃に産卵のために
流れ込みに集結します。
そして、それに合わせて捕食魚達も上流に集まります。

この場合、低水位で流れ込みのエリアが狭かったり、雪代水による濁りで澄んだ水域が
狭かったりすると、細長いインレットの非常に限定的な区間にのみ高活性魚が
いることがあります。

このようなときにミノーやスプーンを素引きしていると、ラインリリースに時間がかかり、
手間取っている間に狭いポイントを通りすぎることがありますが、
ドジャーの重みと抵抗を利用すれば、素早いラインリリースを行い、短いトローリング距離で
一気に食わせることができます。

使用するリグは、ジャンセンドジャー000番(#030-4-5/8" x 1-9/16")から2号リーダーを
40cmと短めに取り、アクションのよい50mm前後の小型のシェルスプーンを使用します。

当然、シェルスプーンのアクションは重要であり、小刻みによくウォブルするものを
使用します(シェルスプーンは、アワビでも夜光貝でもよくヒットします)。

これは夜光貝キビナゴ筋75mm

実戦のフラッシャーリグ
先日釣行した際に、米国で流行しているフラッシャー「Bachholds Fishcatcher」を
試しに使用してみました。

本格的なフラッシャーは、日本ではあまり使用されているのを聞いたことがありませんが、
ドジャーが左右の「振幅」を特徴としているのに対し、
フラッシャーは「旋回=Rotate」(spinではない)を特徴としています。

Fishcatcherというフラッシャーは、それまでのフラッシャー(テーパー形状で前側が細く、
前後が異なる斜め方向に折れ曲がっている)と異なり、
平らな板の後ろ側に斜めに突出するフィンを取り付けた形状になっています。

この形状により、デッドスローやスロー域では旋回しなかった従来型の動きを改善し、
低速域から360度のフルローテイトを発生するとともに、
ハイスピードにも追従することができ、これが支持されて人気商品になったようです。

類似した製品としては、Dreamweaver製のSpin Doctorという商品もあるようです。

しかし、cabela'sが扱っているフィッシュキャッチャーは、8インチ以上の大きさしかなく、
トラウト用の5インチは扱っていないため、やむを得ず8インチを購入。

8インチというサイズは、昔ジャンセンドジャー0番を使って釣ったとはいえ、
ドジャーと全く材質形状が違うせいもあり、こんなんで釣れるのか?と思うサイズです。

本来は、ダウンリガー用のアクセサリーのようですが、事前に製作者にメールで
問い合わせたところ、レッドコアでも使用しているとのこと。

フィールドで実際に引いてみると、デッドスローでも旋回を始め、
いわゆるスパイラルムーブメントをするようです。

しかし、8インチという巨大サイズと、プラスチック製の色合いと作りもあいまって、
釣れるのか?という疑念は全く払拭されないまま実釣を開始。

とりあえず勝手が分からないので、リーダーは約60cm、当日よく釣れていたI'zアワビ50mmを
ドジャーから外してセットし、同船していた後輩に竿を託して引いて見ます。

引き抵抗はもっと大きいか?と思いましたがさほどではなく、000番のドジャーと大した違いはないようです。

半信半疑のまましばらく引き続けると、いきなりロッドが引き込まれ、同船していた後輩が竿を取ります。
当日の私は、実は使用していたドジャー+I'zアワビ50mmがはまってハイペースで釣っており、

一方、後輩は自作のアワビや夜光貝を使っていたものの、アクションが悪いのでまったく竿を
取ることなくふてくされ気味で、船中不穏な空気が漂っていたのでホッとします。

上がってきたのは45cmくらいの良型のサツキマスでしたが、後輩曰く、
やっぱり8インチでは魚が走らず釣り味が落ちるそうです。

その後、別のシェルスプーンに交換しても釣れたので、このフラッシャーリグ、確かに釣れるようです。
日本ではあまりなかったアクションで、スピード耐性もドジャーを上回るといわれているゆえ、今後は、
湖沼面積の広いフィールドの回遊魚狙いで試して行きたいと思います。

ただ、旋回とはいえ回っていることには変わりはなく、米国製品には珍しくベアリングスイベルを
上下に純正で備えているとしても、糸よれは当然起きるので、太い方のリーダーに直結するなど、
何らかの対策は必要かと思います。

シェルスプーンのメンテナンスと寿命
近年の酸性雨の影響か、無垢のシェルスプーンを湖水に浸け続けると、
表面が酸化して白く曇ることがあります。
この場合のメンテナンスについては、使用中はこまめにハンカチ等で
擦るようにします。

また、使用後又は釣行前など、特にきれいにしたい場合は、
バフ研磨用のコンパウンドで磨くようにします。

バフ研磨用のコンパウンドは、ホームセンターで粒度により、
赤棒や、白棒、青棒と称して売っています。

ルーターがあれば非常に作業がはかどりますが、布による手磨きでも
効果はあると思います。
また、研磨剤については、金属磨きのピカールでも大丈夫だと思います。

寿命については、根掛かりでなくすと1日足らずということになりますが、
それは冗談として、ツノのような経時的な寿命はあまりないと思います。

ただし、ボート上で魚が暴れた際にルアーがデッキにたたきつけられたり、
また、使い続けていれば何らかの衝撃を受け続けるので、
このような物理的な原因による割れは極くまれにあります。

しかし、実際には、根掛かりによるロストが圧倒的に多く、
また、踏みつけて割ってしまうこともあるので注意が必要です。

プレーナーボード2
キャベラスで安かったので、私もイエローバードのプレーナーボードをとりあえず
購入しましたが、アメリカの掲示板で下記のような書き込みを見つけてしまいました。
http://www.websitemint.com/striperkings/SKMB1/messages/11813.html

「他のどんなプレーナーボードもイエローバードよりずっといいよ。
私の好きなプレーナーボードはWiley Sideliner 製のプレーナーボードだよ。
理由は走行性能がよく、左舷、右舷両方使えるリバーシブルタイプだからだよ。

その他にストライパーを狙っている釣人向けにもいいプレーナーボードがあるよ。
Chris Clamp 製のオレゴンボード(大型)やHorace Owens 製の中型・小型のものもいい。

私は決してイエローバードは他の釣人にお勧めしない。なぜならイエローバードは、
低速でボードが走らず寝てしまうからだよ。」

プレーナーボードは意外に重くかさばるので、私も、左舷右舷両用のリバーシブルタイプを
捜したのですが、よいものが見あたりませんでした。
あと、イエローバードは、レッドデビルリリース(ラインリリース)が使いにくく、
交換した方がよいかな?とも思いました。

米国のレイクトローリングロッド2
以前、FAQ8の後半で、EagleClaw社StarfireGraphiteTrollingRod (SFG403)と
StarfireRod
(SF403)がCabela'sで販売されているのをレポートしました。
これらは、どうやらアメリカのスタンダードのようで、日本でもご存じの方がおられるようでした。

さて、実際に使用してみたところ、グラファイトのSFG403の方が細身で見た目がよく、
シーバスロッドを使っていた私には好みでしたが、カーボン特有の張りがあるため、
小さい魚を取り込むときに若干はじく感じがありました。

でもまあ、レッドコアを引っ張っていると多少は腰が抜けるので、これは全く問題ないでしょう。

一方、グラスのSF403は、見た目が少し太いだけに、ロッドだけを持つと少し
ベナベナしているように感じますが、レッドコアを引っ張ると良い感じに腰が張り、
取り込み時もはじく感じがなくバラシが少ないようです。

両者ともバットが太いため、根ががり外しやゴミ払いも容易です。

そして、何よりも価格が安いので、流木地帯などでも遠慮なく竿先を水中に
つっこんでゴミを回避するなど、非常に実戦に適した使い方ができます。

また、レッドコアラインも1色から10色までは十分対応が可能でしょう。

前者のSFG403が39.99$、後者のSF403が34.99$。いずれも梱包料や送料がかかりますが、
2本を航空便で買っても100$ちょっとなので、やはりお勧めです。

ドールシープ
ドールシープ
は、アラスカ等の寒冷地を原産地とする野生の羊で、
高山の岩場に生息しています。
粗食で育ち、牡同士が角突き合って争うなど、
その角はルアー素材として十分に魅力的な条件を備えているようです。

ドールシープのツノには、独特の細かい筋が無数に入っており、
それが水中で妖しく光を反射し魚を誘います。
黒塗りの器に水を張り、ツノを浸けると、微妙な光のホログラムがよくわかります。

画面ではちょっと見にくいですが。
そして、フィールドテストを依頼していた友人によれば、
北海道の各地の湖で入れ食いであったそうです。

スプーントロールによる回遊魚の狙い方1
初夏の陽気を向かえ、これから湖水の温度がぐんぐん上昇していきます。

このような時節になると、サクラマスなどの回遊魚は徐々にタナを深くして且つスレており、
なかなか捉えようが無い場合も多くあります。

特に天然湖では、ダム湖のように地形の変化から来るポイントがはっきりしている訳でもなく、
流入するインレットも大きくないため、茫洋とした変化しかなく、捉えどころがなく悩むところです。

対策として考えられるのは魚探を使用して魚自体の反応をさぐる、ベイトフィッシュの動向を探る、
あるいは岬や水通しの良い場所、ボトムの地形の変化を狙う、

適水温域・サーモクラインを狙う、過去の実績から付き場や回遊コースを予測するといったところでしょうが、
回遊魚は根魚と異なり時として神出鬼没であり、実際フィールドで魚探を使用しても画面に写る泳層が
バラバラだったりして、ヒットがないとますます悩むところとなります。

このような状況ではレッドコアラインとスピードのレンジ対応が広いシェルスプーンを組み合わせ、
スピードを可変させてタナを広く探るタクティクスが有効な場合があります。

キャスティング゙の好ポイント沖で魚は付くがプレッシャーがかかっていた場所で
スピードの可変を用いて釣った価値ある大型サクラマス。
魚探の反応があるものの(アプローチが容易な湖ではさすがに魚探は使用します)、
キャスティングで長時間攻められた後で、また泳層がバラバラで3往復目にしてようやく獲った。

タナを広く攻めるだけでなくプレッシャーがかかった魚に対してリアクションバイトを誘う意味もある。
Iz夜光貝キビナゴ筋80mm使用。
この釣り方は効果もあるが、タナを攻める戦略性、トレースゾーンを考えるゲーム性があって楽しい。

スプーントロールによる回遊魚の狙い方2
具体的に説明しましょう。下記のグラフ(FAQ6でご紹介したレッドコアラインの特性図)を再掲します。

Quoted from The Troller’s HandBook, Ray Rychnovsky

レッドコアラインは、その特性としてスピードが増加すれば沈降深度が減少し、
スピードが減少すれば沈降深度が増加します。

また、ラインアウト量が大きくなればなるほど、スピードの変化による沈降深度のギャップが激しくなります。

FAQ6で既に説明した通り、2kmで一色当たり2m沈み、3kmで一色あたり1.5m沈むレッドコアリグがあると
仮定した場合、ラインアウト量一色出しの場合、2kmと3kmの沈降深度の差は50cmしかありませんが、
10色出しならば5mの差がでます。

この性質を利用して、タナが深くなりラインアウト量が増えた場合、スピードの可変を用いて広くルアーの泳層を
斜めにつっきらせて探る方法をトロール中時折用います。

なお、この方法は広いスピードレンジで泳ぐスプーンが適しており、ピーキーなアクション限界性能を持つスプーン
(例えばある特定のスピードなら回転をまじえながらウオブルし、回転とウオブルのトリッキーさが出て釣れるものの、
少しスピードを上げると完全に回ってしまって釣りずらい、

あるいはスピードを下げるとウオブルが弱くなって釣りずらい、一般的な製法にありがちなシェルスプーンなど)は
不向きであり、ここにIzシェルスプーンを使用する大きなメリットがあります。

Izシェルスプーンは非対称カット(PAT)でスプーンのバランスを調節できるため、幅広いスピードのレンジでアクションし、
且つウオブリングを消さないよう製作することを可能としています。

また、この製法を使用すれば、削り出して最終成型後の工程を経てフックを取り付けた後もなお、
スイムテスト中にスプーン本体のアクションの
微調節が可能となります。

そして、ただの棒引きになりがちなトローリング中のアクションを考慮に入れ、微妙な不安定さをわざと残して、
スピードの微妙な変化に応じてトリッキーなアクションバランスを出せるように仕立てることを可能にしています。

スプーントロールによる回遊魚の狙い方3
また、レッドコアラインは、ウエイト・ライン一体型リグのため、ラインアウト量を増やしても
ダイアメーターウエイトレシオ(ライン直径対重量比)が常に一定です、

そのため、上記グラフで変化が直線で示されているように、ラインアウト量の増加に比例して、
深度を一定の比率で深くする性質(ある特定のスピードで一色当たり1.5mなら2色で3m、
3色で4.5m)がありますが、スピードの増減に対しては一定の比率で増減する比例関係は
ないのでこの釣り方をする方はご留意ください。

参考のため、スピードの可変に対するレッドコアの沈降深度(一色当たりの深度)の
計算上・理論上のモデルとなるグラフを掲載します。

Quoted from The Troller’s HandBook, Ray Rychnovsky

このグラフにあるレッドコアの対スピード特性とご自分の使用しているリグ
(レッドコアのlbやメーカー、リーダー長や太さなど *注)を勘案の上、

スピードの変化に対する自分なりの沈降深度率の変化を実測法などと併用しながら確認して、
釣り場の状況に応じたゲームを組み立てていきます。

*注.ミノーをこの釣り方に適用する場合は、使用するミノーの沈降特性や抵抗をあらたに考えていく必要があります。

一般に潜航板やダイビングリップ付きのルアーは下記のHPのグラフにもあるように、スピードの可変だけでなく、
厳密にはラインアウト量にも深度が比例しない性質があります。

リップの大きさ、角度、ルアーの大きさにもよりますがそれぞれルアー毎に独特のダイビングカーブがあるため、
深度管理がやや困難な場合もあるように思われます。

そのため抵抗が少ないスプーンとレッドコアの組み合わせのほうが中層域のレイヤーでは
無難にゲーム性の高い釣りが展開しやすい(特定のレイヤーやゾーン=タナを狙った釣りがやりやすい)と思います。

参照HP: http://www.walleyecentral.com/roman-shad.shtml

市販の良作 日本の金属スプーン
私は最近フィールドテストの関係で自作のシェルスプーンや角スプーンをメインに使っていますが、
今までの経験から下記の市販スプーンは良作だと思いますのでご紹介いたします。

タックルハウス タックルスプーン ツインクルスプーン
このスプーンはアクションが良く、広い速度のレンジで安定したウォブリングをするのでお気に入りの一本です。

カラーは早期は反応カラーのピンク・銀、水温が上がるとリアル系の表面模様をもつ茶がかった赤金を
比較的透明度の高い湖で夏に使用した場合結構釣れるようです。

スミス プリズナー
残念ながら廃盤になってしまったこのスプーンですが、トリッキーなアクションと独特のオーロラカラーの塗装が
早期の湖に特に効果的でした。
サイズは7gが良かったと思います。

オリムピック レイクルスペシャル
実際のフィールドでは試していませんが、プリズム的なカラーが早期の季節によく効くように思います。
12gをスイムテストしたところアクションレンジが広く、低速から細かくウォブリングするなど、泳ぎも良く、
釣れるスプーンだと思います。
これを愛用するトローラーが大型のサクラマスを上げていたのを見かけたことがあります。


これらよく釣れる金属スプーンの共通点は当たり前ですが泳ぎが良い、
そしてスピードに対するアクションレンジが広いということでしょう。

広い速度のレンジで使い易いスプーンなので、トローラーの支持を得てきたのだと思います。
この他にも試してみたいスプーンが勿論あります。今シーズンまた当たりスプーンを発見するつもりです。

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