トローリングから見るアメリカの豊かさ その1
(FAQ22)
釣りという視点からアメリカの豊かさを広く世間に知らしめたのは、1980年に週間朝日に連載された、
開高健氏が南北アメリカを縦断、釣り行脚して紀行文にまとめた「もっと遠く」であったと思います。

私のHPであらためて述べるまでもなく、アメリカのトローラー達が
非常に恵まれた環境にあることは薄々ご承知の方が殆どだと思います。

しかし、下記のデータを見るとあらためて彼らの凄まじいまでの「豊かさ」にうんざりするほかありません。

基礎データ
・人口
アメリカ   2億6千万人(日本のおよそ2倍)
日本     1億3千万人
・国土面積
アメリカ   日本のおよそ25倍
ここら辺までは別にどうということはないですが、問題はここからです。

プレジャーボートの保有台数
日本          26万隻
アメリカ全土   1,712万隻(日本の65倍)

なんと桁2つ違うんです。
ちなみに、2位はカナダで219万隻、3位以下10位(日本は11位なので含まない)までの先進国の保有隻数を合計しても、
アメリカの約半分(700万隻)の保有隻数にしか過ぎないのです。

次項以降にアメリカのレイクトローリングのメッカと思われる五大湖とミシガン州のボート事情についてご紹介していきます。
米国で人気のシマノTekotaLC ギア比が4:1なのが惜しい

レッドコア10ColorOverのタクティクス6(5大湖のカッパーライン4)

リールについては、レッドコアラインのように10ヤード毎の色分けがあるわけではないので、
ラインアウト量を測るため、ラインカウンター付が必要となります。

ライン径(注2.)と糸巻き量から、北米シマノのTekota600番〜800番のラインカウンター付き、
または北米ダイワシーラインSG47LCA(若干糸巻き量は少ないようです)、その他、北米市場で
シマノ・ダイワの存在感を脅かしつつある台湾メーカーのOKUMA製で、
レベルワインド・ラインカウンター付も選択肢としてあるようです。


これら北米仕様のレイクトローリング用リールでラインカウンター付きモデルはレベルワインド付きではあるものの、
ギア比が最大でも4:1程度のモデルが主流のため、200ヤード出しの場合、回収は相当骨が折れると思います。
(ブログなどを読むと、とある北米トローラーは、200ヤードのライン回収作業を、
まるで漫画のポパイがウインチを巻くようだ、という表現を使って自嘲しています)

繰り返しになりますが、私が最近購入したシマノの石鯛用ラインカウンター付リールは、
18lb
レッドコアなら15色以上巻ける十分な糸巻き量を持ち、ラインカウンター付きで
なおかつ5:1のハイスピードギアを持つという性能があります。

レベルワインダーが無いのは非常に残念ではありますが、北米仕様のレイクトローリングのリールの中で探しても、
意外とあるようでなかなか無い設定で、カッパーライン使用時においても結構貴重な存在ではないか?とあらためて思っています。


注2.40lbクラスの太径のカッパーラインを200ヤード巻いて40m超のタナを狙う場合には、シマノTekotaであれば最大の800番クラス、
PENNなら345Gtiクラスの糸巻量が必要であると推奨されています。
PENN345gtiは無茶苦茶大きく、無骨な渋いデザインで個人的には好きなタイプではありますが、ラインカウンター無しでドン亀使用のギア比のため、
根性でもないと200ヤードは巻き取れないのでは?と思います。

写真4.ローラーガイド仕様のイーグルクローSF404

レッドコア10ColorOverのタクティクス5(5大湖のカッパーライン3)

ところで、カッパーラインを含めたワイヤーラインをレイクトローリングに使用することは北米では相当普及しているようで、
竿の選択肢もリーズナブルな価格設定で、それなりに充実しています。

例えば、ワイヤー系のラインを使用する場合、釣竿はローラーガイド仕様となりますが、
例えば私が普段レッドコアライン1〜10色で最近愛用しているイーグルクローSFシリーズ(送料別34ドル程度)にも
SF404
(下図写真4.送料別54ドル程度)という安価なローラーガイド仕様のモデルがあり、
その他、シマノの北米仕様のレイクトローリングロッドTALORAシリーズにも、
ダイワ北米仕様のHeartlandシリーズにも安価なローラーガイド仕様のレイクトローリングロッドがあるようです。


これらは大型ボートで縦方向の使用を想定した8ftくらいなので、横幅のない日本の貸しボートや小型マイボートで使用するなら、
横方向に複数カッパーラインの竿を出すというより、ボート左右2本の中層狙いのレッドコアで流して、船の中央縦方向に、
深場用に狙いを定めた一本のカッパーラインリグを追加するというイメージになるのでしょうか?

勿論、冷静に考えれば、釣り味はますます悪くなりますが、既存のレッドコアラインリグ10色にシンカーを追加することでも、
ある程度対応できるので、この仕掛けを利用するか否か?はその人の好みではありますが・・・

写真3.カッパーラインとレッドコアラインの沈降深度比較表(出典 GLA誌)

注1.   この数値と上のグラフはGLA20047月号に記載されていたもの。また、GLA20057月号によると30lbのカッパーラインは
100feet
3.3色)で4.03oz、すなわち100ヤード(300フィート)で約342gとなる。

ちなみにカッパーライン30lbの外径は0.28インチ(約0.71mm)程度。一方、一般的なレッドコアライン18lb/100yds220g程度で外径はほぼ同等。
これらのデータをIzShellcraftで流体力学、漁業工学の専門家にアドバイスを仰いで個人使用するために試作した沈降深度シュミレーション用
エクセルワークシート上の微分方程式にデータを入力して解析すると、想定する速度にもよるがおおよそ25%増位の沈降深度率である。

対レッドコア比1.65倍は、前提とした条件(レッドコア27lb vsカッパーライン35lb)が違うしフィールドテストもしていないので何とも言えないが、
ややオーバーかも知れないと個人的な感想。

レッドコア10ColorOverのタクティクス4(5大湖のカッパーライン2)

さて、
カッパーラインとは、単純にいえば銅製のワイヤーケーブルであり、
銅の比重自体は8.95と、鉛の比重11.3と比較すると軽いものです。

しかし、レッドコアラインとカッパーラインを比較した場合、レッドコアラインは芯の部分のみ鉛であり、
外皮のダクロンの比重は水と同程度の比重1なので、外皮を含めたレッドコアライン全体の比重、
およびダイアメーターウエイトレシオはカッパーラインよりも下回ります。

レッドコアラインは、これらワイヤーライン系と比較して、結束や竿のガイド等、特に気を使わなくて良いけれど
沈降深度率がやや悪く、浅場をロープレッシャーで手軽に攻める用途向き仕掛け
と位置づけられているようです。


一方、カッパーラインはその全部が銅でできているため、結果としてダイアメーターウエイトレシオは若干高く、
レッドコアラインと比較すれば一色あたりの沈降深度率が1.65倍高く(注1)、
ある程度早引きしてもレッドコアラインより短いラインアウト量でやや深場に到達でき、
多少の不便を承知でラインアウト量を最大200ヤードまで増やせば、ダウンリガーと同等の深層を、
レッドコアと同等のステルス性で探ることができるメリットがあるようです。


なお、糸の結束やラインアウト時の扱い、ロッドやリールを含めたリグ(仕掛け)のセッティングは癖がありますが、
慣れてしまえば比較的簡単なようで、何万ドルという高額な賞金を賭けたサーモンダービーなどでは、
プレッシャーが高い状況における18m〜40m層狙いの最終兵器的なタクティクスの一つとして用いられているようです

写真1.スピード耐性のあるOptiDodgerを      写真2.カッパーライン(GLA誌より)
    販売しているOpti製カッパーライン

レッドコア10ColorOverのタクティクス3(5大湖のカッパーライン1)

北米5大湖のトローラー達は、18m以上の深度を狙う場合にはダウンリガーを使用するのが一般的です。
深いタナを正確に、ラインアウト量も短く狙える半面、ダウンリガーは大きなボールの存在や仕掛けの水切り音、
仕掛けがボートから近いため魚にプレッシャーを与えやすいケースがあることは彼らも承知しているようです。

特にサーモンダービーなどで釣り人が多くなり混雑してくると、他船のエンジン音や引き波、
加えて多くの船が魚探を使用して、振動子の雑音等でさらにプレッシャーがかかり
また水中に多数存在してしまうダウンリガーボールの違和感により魚が警戒してしまいます。

このため、ボールの位置や魚の群れを広く且つ精密に探査できる高性能2周波魚探(50khz/200khz)を利用して
正確にタナを取って、魚の泳層を直撃したとしても、喰いが非常に渋くなることもあるようです。

このようなときに、ワイヤーライン、最近はカッパーライン(左下写真)と呼ばれる銅線ラインを
使用するシークレット的なタクティクス
が有力視される場合もあるようです。

アラスカANIAK.River
トローリングから見るアメリカの豊かさ その3

さて、第一位にランクされたミシガン州とはどういうところなのでしょうか?

内陸なので当然海岸線はありませんが、五大湖の一つである巨大なミシガン湖があり、
さらに驚くべきことに、これに加えて氷河の侵食作用によって出来た1万以上の小さな湖が
散在しており、まさに湖の州です。

同州では、ボートが利用出来る湖から15マイル(24km)以上離れている町は存在しないといわれています。
加えて、ボートに対するインフラ整備も徹底しており、湖岸に多数のボートランプ(スロープ)が整備されており、
その数は全州で1302箇所もあるそうです。

ボートの保管はなにせ自宅の庭が広いので自宅置き、そして休日にトレーラーで湖岸まで引っ張っていき、
きちんと整備されたボートランプ(スロープ)から出艇するのが彼らの流儀のようです。

なんとまあ恵まれた環境でしょう。
そしてこのような整った環境が、ダウンリガー4基で8本出しとか、GPS魚探と電動ダウンリガー数基を
インターフェースケーブルで接続して連動させて自動的にポイントとタナをさぐる超ハイテク・デジタルトローリングとか、
日本で行うには物理的、時間的に不可能な複雑高度なボートセッティングを可能にしています。

余談ですが日本でマイボートトローリングに適した湖でスロープがきちんと整っている湖は、
本州のリザーバーで有名なところでは奥利根ダムくらいでしょうか・・・

しかし、スロープが整った湖がほとんどない日本の場合、釣人が過剰に一極集中してしまい場荒れが激しくなり、
良い釣り場とはならないのかもしれません。

この点に関連し、あちらではトローリング(ムーチング・餌釣含む)でのバッグリミット(制限匹数)が
日本より厳格に取り決められるなど、資源管理面でも釣り人の意識と民度が高いようです。

「もっと遠く」が出版されてからはや四半世紀、あくせく働いて我々日本人はどのくらい豊かになったのでしょうか?
そして、こんな国相手に50年前よくぞ戦争を仕掛けたものだ、もし時の首相がトローラーだったら、
戦前の中禅寺湖の外国外交官との社交場である日光鱒釣り紳士倶楽部に在籍していたら、と思わずにいられません。

これはアラスカANIAK.Riverのサーモン

トローリングから見るアメリカの豊かさ その2

アメリカでボートの所有隻数が多い州は下記の通りです。
   1位  ミシガン州        87万隻
   2位  カリフォルニア州    81万隻
   3位  ミネソタ州        72万隻
   4位  フロリダ州       70万隻
   5位  テキサス州       57万隻

上記の数字で特筆すべきはミシガン州・ミネソタ州という内陸で、かつそれほど人口も多くないこの二つの州が、
保有隻数が群を抜いて多いということです。
そしてこの2つの州は五大湖に隣接しているというのがポイントです。

なお、ミネソタ州の一隻当たりの人口は6.2人/隻、ミシガン州の場合は10.8人/隻です。

これらはほぼ一家に一隻ボートを持っているという状態です。ちなみに、
日本のプレジャーボートの普及率は、461人/隻です。

我が日本を四方を海に囲まれた海洋大国ゆえボート先進国だとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、
それは残念ながら幻想であり、これらの数字の前にはさしずめ「沈黙の艦隊」とならざるを得ないでしょう。

これは日本、桜の花咲く下で

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