(FAQ18)
米国トローリングボートのマリンエレクトロニクス
最近の流行などを下記します。ケータイや
PC、家電と同じで、
新機種が次々と投入され、価格は年々下がり、機能は向上するという
日進月歩
*の世界ですので、これを書いている時点(2005年)と
近い将来ではまた事情は異なるであろうことをご了承ください。

*日進月歩が進みすぎると開発側にはこんな苦悩もあるようです)

VHFラジオ
広大な湖沼面積と大型ボートの使用、電波規制が緩く整備されている北米では、
出力25W程度のVHF無線を装備して、トローラー同士が情報交換、
危機管理に使用することがかなり一般化しているようです。
日本では大半は携帯電話がこの役目を担っていますが、
携帯に比べ基地局のない地域でも電波さえ届けば交信場所に制限がないこと、
多人数参加での同時交信が可能なことなどがメリットとしてあるようです。

なお、日本の場合、たとえば携帯性にすぐれ、消費電力が少なく、
ある程度の交信範囲を持つ最大出力5WのトランシーバータイプVHFを
レジャー目的で使用する場合でさえ、正式にはアマチュア無線4級免許取得と局開設申請という、
費用と時間、手間のかかる実に面倒な手続きが別途必要なようです。
選択する機種により、これらの手続きを行わないで交信すると、
電波法違反(一年以下の懲役または50万円以下の罰金)を問われる恐れがあるようです。
よって、免許・申請が必要となる機種を選択した場合、機械を買ったらすぐに湖上で仲間と交信、
という具合に安直には導入出来ないことが難点としてあるようです。
トローリングなどボート釣りはもとより、登山では遭難防止など、
人の暮らしや安全に確実に役立つであろうこのアイテムが、許認可に阻まれて普及の障壁となるのであれば、残念なことです。
所轄官庁におかれては、規制する正当な理由と利便性を比較考慮の上、可能な限り規制緩和していただきたいと思います。

―注意すべき事例などー
NHKのディレクターらが先月28日、栃木県日光市でドラマ撮影中、アマチュア無線機を無免許使用していたことが3日、分かった。
NHKによると、番組ディレクターと外部スタッフ6人の計7人が中禅寺湖畔で今秋放送の単発ドラマ撮影の際、連絡を取り合うため、
都内の業者から借りた携帯型アマチュア無線機を無免許使用した。
観光客からの指摘で使用を取りやめたという。
NHKは「スタッフに電波法の認識が不足していた。今後は注意を徹底したい」としている。
電波法4条は、アマチュア無線の免許取得を義務付け、業務使用を認めていない。

米国トローリングボートのマリンエレクトロニクス2
魚探

現在の流行機種はRaymarine製のデジタルカラー魚探、DSXシリーズ(注*)。
従来のアナログ信号処理タイプが水中の様子を画像に表示するまで7秒かかっていた処理時間を、
デジタル化することにより2秒で表示出来るようです。


これにより、画面に映ったダウンリガーボール周辺の魚の動きを読みとったり、
魚の泳層を素早く察知出来るようです。
このメリットを活用し、ボールの位置を泳層に迅速にあわせて、的確なタイミングで誘いの
アクションをかけることによりヒット率が高まることが期待できるようです。


最新の魚探は画像の精度も高いようで、例えばダウンリガーボールのみならず、
リリースクリップのような小さなものまでも映ってしまう、とのことです。
これらはどこまでホントの話しかどうかは別として、将来魚探の技術向上により、
処理スピードと精度が上がれば、水中ビデオ並とまでいかなくても、
それにより近づく性能を持つようになるかもしれません。


尚、この業界もメーカー間の競争が厳しいようで、価格も年々下がっており、
例えば2004年と2005年の同一機種における海外通販のカタログ提示価格が型番遅れにより
30%以上値下がりしているものも割合と見かけます。

日本製で評価が高いのはフルノ製で、アラスカのサーモントロール船にはかなりの率で搭載されているとか。
五大湖のトローラーの間でも多く採用されているようです。もっとも彼らのボートは大型なので、
魚探の画面サイズも、日本のプロの漁船並に大きい大型サイズが好まれているようですから、
日本の貸しボートや小型マイボート事情を考えるとそのまま導入するのはきつい選択なのでは、と思います。

Raymarine DS600X


FURUNO 582

オープンウォータートローリングのタクティクス
小型ボートでダウンリガーを用いる場合、ボートの横幅がないため
複数基のダウンリガーセッティングが困難な場合があります。

このような制約のある条件で、中層の回遊魚を狙ってダウンリガーを用いる場合、
広くタナを探りたい場合の有効なリグ(仕掛け)のセッティング方法をご紹介します。


下図はスライダーリグと呼ばれる方法です。
スライダーリグにはフリースライダーリグ(
A図)と
フィックスド・スライダーリグ(B図)などがあります。

これらの方法を使用すれば、一基のダウンリガーに一本の釣り竿を使用のみで、
2つのルアーで異なった泳層を同時に探れることになります。
フリースライダーリグは、
A図のようにナイロンラインの中間にスナップなどを通して、
位置を固定しないで分岐するラインと
第二のルアーを取りつけます。

位置を固定しないので当然ルアーのタナはブラブラしており、
第二のルアーのタナについてはアバウトなものとなります。

一方、フィックスド・スライダーの場合、通常の一基当たり一個のルアーに追加して、
ケーブルワイヤーの任意の位置にリリースクリップを新たに追加、固定して、
道糸にスナップスイベルをかましてその後ろにリーダーを取りつけ、新たなルアーを流します。

似たような方法として以前ご紹介したスタッカーリリース(参考C図)を用いた
リガー一基当たり釣り竿2本出しの方法もありますが、こちらのほうはよりシンプルな釣り方のようです。

なお、これらの仕掛けは胴付き仕掛けを極端に大掛かりにしたもの、と解釈できるため、
遊漁規則で胴付き仕掛け禁止が定められた釣り場(芦ノ湖など)では
この方法を取ることはかなわないと思われます。

フリースライダーリグ(A図)

フィックス・スライダーリグ(B図)ロッドは1本出し

スタッカーリリース(参考C図)ダウンリガー1基あたりロッドは2本

ネオプレンゴムの手袋
そろそろ寒くなってきましたが、これからの厳寒期のグッズとしてネオプレンゴムの手袋をお勧めします。
これは今から冬の間に入手すべきもので、時期を外すと在庫がなくなるか、価格がとても高くなります。

ボートに乗って釣りをしていると、どうしても手が水に濡れますが、
3月などの寒い時期に手が濡れると痛いくらいの冷たさを感じることがあります。
ハイパロン等の防水手袋もあるのですが、完璧な防水効果を期待することは到底かなわず、
必ず中綿に水がしみ込んでビショビショになり使い物にならなくなります。

ネオプレンゴムの手袋は、ウェットスーツと同じなので水に濡れても保温性があり、
氷点下にも耐えることができます。
細かい作業するときはどうせ外すことになるので、全部の指先まであるタイプの方がいいでしょう。
秋冬の間に釣具店で探せば、価格の安い物が手に入ります。

意外に感じるかもしれませんが、手や足の保温を確実にすることによって、
身体全体の冷えをとても効果的に抑制することができます。
同じ意味で、ブーツの下にオーバーソックスを履くのも非常に効果的です。

ところで、氷点下といえば、マイナス6、7℃の世界でトローリングしたことがあります。
ここまで寒いと、魚とファイトしているときでもラインとガイドが凍り付くことがありました。
やりとりの最中に突然リールが巻けなくなり、リールの故障かと見てみるとそうではなく、
濡れたラインがガイドに凍り付いていたのでした。

それでどうしたかというと、ロッドを水中に突っ込んでかき回し、氷を溶かしてから再びファイトに入る。
それを2、3回繰り返してから、大型の魚を取り込んだことを記憶しています。

日本の職漁マス曳縄釣り1(仕掛け)
日本海や東北などで早春に行われている職漁師の海のマス曳縄釣りについて、参考までご紹介したいと思います。

合理性を最大限に追求したオープンウォータートローリングとも言える漁法で、地域によって差はありますが
昭和30年代半ばには基本形は完成していたようです。

仕掛けは下図のように5枚~6枚程度の潜行板を多重に使用し、
タナを上から下まで同時に絨毯爆撃するかのような流し方を行います。
道糸にはワイヤーを使用し、ハリスは10号程度とかなり太いものが使われているようです。
潜行板は上の層に大きいサイズを使い、下に行くにしたがって小さいサイズにしていきます。
潜行板には何種類かあり、状況によって深潜りの板を使用するか、浅潜りの板を使用するか使い分けるようです。

海のサクラマスは湖沼型のような泥臭さがなく、
産地によってはkg当たり1500~2000円前後と高級魚扱いであり、
一般の食卓に上がることは希ですが、
鮭よりもきめの細かい身は高級食材として割烹・レストランに高く評価されているようです。

早くから魚探を導入し、漁業無線で情報交換し、漁師仲間で研究会を開き、技術を向上させてきたその合理性は、
北米のサーモントローリングと比較しても、さすがに漁業先進国日本と賞賛に値するものですが、
仕掛けが重く魚の引き味が楽しめない、
悪くすれば乱獲につながるなど、この漁法はアマチュア釣り師向けではないと思われます。

日本の職漁マス曳縄釣り2(餌)
サクラマスを狙ったプロの曳縄釣りに用いられる餌については、
ありとあらゆる物が試行錯誤されたようです。

生き餌はもちろん、デッドベイト、切り身、タコベイト、
毛針、角、合成樹脂角、そしてアワビの
手製シェルスプーンも、昭和40年代にすでに威力が発見されていた地域(佐渡)もあったとのことです。

一方、市販プラグでは、何とジョイントラパラが一時期流行した地域
(庄内・昭和50年前後)もあったりしたようです。

現在はタコベイトに切り身の組み合わせや、合成樹脂角が使用されている場合が多いようですが、職漁者は、
餌、擬似餌の使用に対して、下図のように餌(ベイト)のアクション(変化)について、
餌の回転を避け、シビアに拘る例もあるようです。

出典・全国曳縄釣漁具法集

電力会社殿・・・
今年は予想に反して非常に寒く、来年のシーズンまでの積雪量もかなり多くなりそうです。
池原ダムなど雪の積もらないフィールドでは余り関係がないようですが、銀山湖などに代表されるような
豪雪地帯の山岳湖では、雪の多い年と少ない年では、幕開けに差が出るようです。

雪の多い年は、電力会社が雪解けによる春の増水を見込むことから、冬の間めいっぱい水を落として発電します。
そのため、早春の解禁日を過ぎてもほとんど水がないことがあり、現地に着いてから唖然としたことも少なからずあります。

水を落としすぎると、本来ならバックウォーターであるはずの場所が、また、ひどい場合は本湖を除く支流の大半が干上がり、
半ば伏流の小さな川となっていることがあります。

川の部分は水が流れるため底が砂利でまだよいのですが、
その横の干上がった部分は泥土の層であり、川床より一段高く堆積します。

この堆積した泥土の層が問題であり、春の雪解けにより川の水量が増えると、川がこの泥土層を削りながら増水するため、
湖に流れ込む水は茶色に濁ることになります。

増水がおさまれば湖水の泥濁りは徐々に沈降するのですが、湖の増水で川の水位も上がるため、
次に川が増水したときに新たに削られた泥土が湖に流入することになり、再び湖水が茶色に濁ります。

この増水による泥濁りは、湖が満水になるまで何回も繰り返されるため、冬場の水位が低ければ低いほど、
湖水が本来の水色に回復するのに時間がかかることになるのです。

ダム湖とは言え、湛水してから半世紀も経つ以上、もはや自然の一部を構築する存在であり、極端な減水は、
上記以外にも水質の低下や遡上の妨げになるなど、湖や流入河川の生態系に大きな影響を及ぼします。

ニュージーランドでは、川の水温が上がりすぎたときには上流のダムから放水して水温を下げ、
川のニジマスを保護するとさえ聞いています。
電力会社や電源開発の関係者の方々には、どうか、もう少し自然に優しいダム湖の水位管理をお願いできないものでしょうか。

これはボルネオのカヤック

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