(FAQ15)
緑の公害・杉花粉
今年も大量の杉花粉が来ています。
前年が冷夏だった昨年に比べると30倍~100倍の量であるとか。
水温むこの季節にマスクを強いられる腹立たしさは、アウトドア派の方でなくともおわかり
いただけると思います。
花見にも行けませんしね。

さて、なぜこのような大量の杉花粉が飛び交うのか。
それは大量に杉を植林したにもかかわらず、人工林の手入れである間伐や枝打ちをしないこと
が最大の原因となっています。
植林は通常、苗木を狭い間隔で植え、ある程度大きくなった時点で間伐という間引きを行います。
また、間伐後は、定期的に枝打ちを行い、木が真っ直ぐに育つようにします。

しかし、外材の輸入によって採算が(FAQ15)取れないという理由から、杉の人工林は
久しく放置されたままであり、間伐も枝打ちもほとんど行われていないというのが現状です。
密に植林されたままの杉はそれ以上大きく育つことができず、そのストレスからも余計に花をつけ、
このような大量の花粉を飛ばす事態になっています。

では、どうするか。
間伐さえ行われれば木の本数は約1/3になります。
また、枝打ちが実施されれば、物理的な花の数量削減で約1/2、ストレス解放による数量削減で
さらに数分の一と、花粉の量はさらに減じることが考えられます。
このように人工林の手入れをきちんとすれば、花粉の量は1/10以下にできると私は予想しています。

杉の人工林には国有林と民有林があり、両方の管理者とも経済的な理由で間伐や枝打ちができないと
言います(国有林の管理者林野庁は独立採算制で約4兆円の赤字)。

とはいえ、日本人の2000万人以上(実際はもっと多いはず。私の職場では約8割りが花粉症)が苦しみ、
さらに年を追う毎に患者数が増加している。
この状況が向こう20年に亘って続くと予測されれば、もはや手をこまねいてはいられないでしょう。

これだけの人が何ヶ月も体調をくずせば生産性は低下するし、行楽に出かける人が減れば、現地の
サービス産業のみならず、物流や販売も含めた各方面でも経済的な打撃が少なからずあるはずです。

そこで、農水省厚生労働省国土交通省をはじめとする関係各省庁の皆さんにお願いしたいと思います。
2000万人以上の健康を害する杉花粉はもはや公害であり、国有林や民有林に関わらず、公害対策の
公共事業として間伐と枝打ちを実施してはいただけないでしょうか。

公共事業によって全国規模で間伐と枝打ちを実施すれば、花粉症の改善はもとより、地元の雇用拡大にも
確実につながるメリットがあります。
そして、健全になった人工林は、将来豊かな森林資源をもたらすとともに、地山を保全し
土砂災害等を防ぐことができます。

過去には、諫早湾や中海干拓、川辺川ダム建設、長良川河口堰をはじめとする無駄な公共事業が
行われてきましたが、その1つ分の予算があれば、杉人工林の間伐・枝打ちを本当の意味での
建設的な公共事業として全国規模で展開できるのではないでしょうか。

また、米余りによる減反政策があるのなら、売れない人工林の減杉檜政策があってもよいでしょう。
木漏れ日がさす自然林
はいいものです。
例えそれが二次林であっても。

日本のツノの歴史その4(昭和)
昭和初期から戦争中までは、明治~大正の流れを組んで、角の種類は牛角を中心に
その他多様な素材の種類が使われていたようです。
しかし、第二次大戦後は材料が入手しづらくなったもの(禁猟になった羚羊、馬爪など)
については使われなくなっていったとあります。

昭和の中頃までは角師とよばれる職人達が、日本各地で職漁、遊漁用の角を
製作していたようです。

中には名手と謳われる角師もおり(今井源蔵、浅見嘉蔵など)、職漁者や遊漁者の
大きな信頼を得ていたそうです。


今井源蔵は神奈川県二宮付近の角職人で、文献では彼の牛角は、遠く東北男鹿半島のプロの漁師達が、
遠征してきたアマチュア釣り客たる今井角の所有者があまりに釣るのを見て、最敬礼して禅譲を
せがんだと言う逸話(大物釣り
永田一脩著 1960年刊)が残るほど優秀なものだったようです。

関東在住のトローラー仲間から伝え聞いた話として、芦ノ湖近くの大磯あたりの古くからやっている
釣り具屋にもその仕事に関する逸話はいくらか残っていると聞きます。

角を求める客たちは、店頭で角の良否を見極めるのにいちいち唾を付けて色変わりや光を
確認したので、店主にいわせれば不潔で迷惑だったそうです。

そんな中で今井角は、古角ではなく良い入手先からきちんとした良材を選別し、水に浸けてよく
色変わりし、独自の形状、カーブを用いて泳ぎが良かったため、安値だけれどいい加減な仕事をする
他の角師のものよりも品質、実績とも高く、よく売れたとのことです。


これら職人達の残した仕事の遺産の一部は、現在三重県七里御浜や湘南などサーフトローリングに使用
されているプラ弓角の原型や、沖の漁師のプラスチック引き角の原型として引き継がれていったようです。

今井源蔵作他の牛角。現代のプラ角のモチーフとなる

浅見・今井角の図解抜粋

日本のツノの歴史その5(現代)
興盛を誇った角釣り文化も、
1960年代以降は衰退していきます。
合成樹脂角が安価で普及したのも一因でしょうが、何より、
牛角の材料入手が困難になったことが主な原因のようです。

先述した角師・今井源蔵の談として、特に
1960年代以降は
牛種改良による短角化
が進み、年々供給は先細り、
1970年代以降は商いを行う上での量の確保が非常に困難になったようです。

(註:全国の農家などで一般的に飼われていた使役牛である赤牛が
トラクター導入で不要となり、変わって短角種・ホルスタインが主流となった)


そして、入れ替わるように合成樹脂角などが量産品・代用品として
1975年くらいから広く出回り、それほど難易度が高くない(数がいる)
一般的な青物などでは使われるようになっていったようです。

(合成樹脂角自体は1950年代から紀州・田辺当たりでは販売されていたが
牛角がなくなるまでは釣果では牛の当たり角に遠くかなわず、
凌駕するには到らなかった
)

(それでも獣角に対する職漁者の厚い信頼は、
漁法が格段に進歩した今なお日本各地で残っているようですが)

現代で獣角が特別に珍重されている釣りは、遊漁者向けではカジキなど
海のビックゲームのトローリング、そして淡水ではレイクトローリングなどの
特殊なものくらいでしょうか。

これらが共通している性格として、両者とも特に難易度が高い魚食魚相手の
大人の趣味、トローリングという日本ではマニアックな手法の
釣り物であるといえましょう。

これらの釣りの対象魚は、海外ならいざ知らず、日本の場合は、特に数がそれほど
多くない上にイジメ倒されている場合も多いようです。

一筋縄では喰ってこないこれらのターゲットを相手にする場合、
実釣で使用する擬似餌の性能、優秀性の如何がそのまま釣果に直結してしまう
という極めてシビアな面を共通して持っています。


それ故たとえ入手が困難であろうが、擬似餌にこだわるトローラー達は
今なお獣角に固執する要因になっていると思います。

対流スピードとルアーのアクション・1
トローリングにおいて、ルアーのアクションや沈降深度に影響を及ぼす速度は
対流スピード」が目安となることは既に
FAQ9で触れましたが、実際に自然の
フィールドでトローリングする上で厄介なのは、湖流が場所によって発生して流速が
変化したり、湖沼面積が大きい場所では海で言う「二枚潮」が発生したりすることです。


湖流は、単純に言えば、例えばダム湖などの場合ではインレットを攻めるときに、
上流側に近づけば近づくほど上からの流れが強くなります。
もう少し複雑な現象としては、例えば芦ノ湖の三本杉あたりの湖がくびれた場所では、
流れが急になったりする現象が起きると言われています。


また、大型カルデラ湖などでトローリングを経験された方なら、それほど風がないのに、
海の潮目のようなものを見たことがある方もおられるかと思います。


このような場合は、例えGPSを装備したりして対地速度を目安にトローリングしていても、
ルアー深度での対流スピードが異なっていると、ルアーが思っているアクションを
していないことがあるため、ある一点のみのスピードにしか対応できないような
狭いスピード耐性のシェルスプーンは通用せず、デッドスローからハイスピードまで
対応しうる広いスピード耐性のあるシェルスプーンを使用する必要があります

山岳湖でインレット上流を目指す。笹濁りでこの手の水色はIz夜光貝キビナゴ筋、
もう少し上流で青っぽく澄みだしたらドールシープで連発する。
流入河川と本湖の境目は時期によっては好ポイントとなるが、状況によっては
本湖よりのあまり流れの無い場所の時もありケースバイケース。
また、殆ど本流の流れ込みのような場所の底ギリギリにシェルスプーンを通すと
大型のネイティブ岩魚が釣れるときがある。
天然湖で意図的にボートスピードの可変で回遊魚を釣るときだけでなく、
このような流速の大きな変化のあるダム湖インレットで「普通に」トロールする場合も、
半端なスピード耐性のシェルスプーンでは実戦で使い辛く、通用しない。

対流スピードとルアーのアクション・2
アメリカ・カナダなど北米ではこれらの対抗策として、先にご紹介した
SUB TROLL900FAQ9ご参照)や
Fish Hawk840などダウンリガーケーブルに対流速度計を取りつけてルアーのタナまで送り込み、
対流速度からボートスピードをコントロールする方法を取ったりしているようです。

また、これら対流計を装備して対流速度を実際の湖上で計測した場合、下記のHPに記述があるように
表層のボートは3
.5マイル(5.6km)で進行していても、ダウンリガーボール付近では1.8マイル(2.8km)
の対流速度でしかない、「二枚潮」の場合もままあるとされています。
 http://www.fishsalmonriver.com/totalchaos/page47.html

ルアーの「スピード耐性」については当HPでも度々言及していますが、湖流という現象を対流計によって実測し
自然環境の多様さを数値として知っていることが、米国のルアーメーカーやアングラー達が、より広いスピードの
範囲でアクションするというルアーやアトラクターのスピード耐性(
Speed Tolerance)を重要視することの
背景となっているようです。

キャノン製電動ダウンリガー4基使用のトローリングボート。
拡大するとリールは形状からダイワ製シーラインSG27/47LCと思われる。
このリールはそれほど高価ではないが、北米でよく使用されている。
この手の写真で他にPenn・シマノは見かけてもアンバサダーを見かけることは殆どない。

対流スピードとルアーのアクション・3
ミノー、スプーンを問わず、およそどのルアーでも、トローリングではルアーのアクションが重要なのは同じです。
例えば、ハンドメイドミノーの場合においては、製作時にリップ形状や角度、ボディ形状、ウエイトの量や配置を
チェックし、さらにアクションに拘る人は使用直前にも微妙なアイチューンを船上で施し微調整します。


シェルスプーンの場合においてもアクションが重要であるという原則はハンドメイドミノーと同じですが、製作時では
天然の素材を削り出すため一本一本与えられたカーブが違い、且つ手作業で削り出すため微妙な誤差も生じます。


これを適正なバランスにするにはシェルスプーンのブランク本体に適切なチューニングを施すことが必要であり、
単にS字状に削ったとしても、ブランク本体が持つアンバランスの補正にはつながらず、逆に低速時にウオブルする
パワーを減衰させたりすることになります。


また、フックのサイズや重量で調整できるのは、ある特定の速度一点におけるアクションのみであり、それ自体が
スプーンのブランク本体の持つアンバランスを補正したり、ひいてはスピード耐性を広げたりできるわけではありません。


シェルスプーンでは、素材の持つ輝きだけが重要ではなく、「完成品として、フックを装着した状態でスピード耐性を
持ちえるか?
」、「どの程度アンバランスを残してトリッキーさを演出できるようにするか?」「使用する条件が
様々に変化する自然の湖上において、実戦で使いやすいアクションのシェルスプーンとは何か?
」が
トローリングルアーに与えられた命題だと考え、一個一個スイムテストで検証しながら、
I'zShellCraftのシェルスプーンを製作しています。

My Favorite Lures
Paravan Buch Spesial
パラバン・バッハスペシャル
私がレイクトローリングで初めてトラウトを釣ったのがこのスプーンでした。
当時はレッドコアラインなど持っておらず、バスタックルのモノフィラメントラインを
50m以上出して41cmのサツキマスを釣りました。

スプーンは18gありましたが、ラインの抵抗でおそらく3~4mしか沈んでいなかったでしょう。
バス釣りの帰り道で、梅雨明け前の夕まずめのワンチャンスでした。

バッハスペシャルは、ウォブリングと呼べるかどうか分からないくらいの
非常に大きなアクションで、左右にパンパンヒラヒラと蝶のように舞い踊ります。
金属色で裏表の色が異なるのも特長です。

Paravan Salamanderパラバン・サラマンダー
バッハスペシャルについでウォブリングが大きなパラバンのスプーンです。
ペイントによるカラーバリエーションが豊富であり、白黄斑点カラーのキャスティングで、
シビアな状況の中ブラウントラウトを釣ったことを記憶しています。

サラマンダーは、適度な厚みのブランクと深いカップを備えており、大きなウォブリングにより
キャスティングにもトローリングにも好適に使用することができます。

ABU Tobyアブ・トビー
「To be(Toby)? Or not to be(Toby)? That is a question.」 開高健氏のフィッシュ・オン
でも紹介されていました。

私がかつてまだ渓流のアマゴしか知らぬ頃、バスを釣っていた私の目の前で、
レイクトローリングの釣人が50cmクラスのサツキマスをゴボー抜きで釣り上げたことを
鮮明に記憶しています。

そのときのルアーがこのトビーでした。色はトローリングカラーと呼ばれるコパーで18g。
漁探なしでレッドコアラインを10色強出して釣ったそうです。

それからの私は、デッドコピーであるダイワ・ハーレーを含め、これらのコパー色を
買いあさっては水中の立木に捧げるようになりました。

トビーは、微妙で細かいウォブリングを得意とし、対象魚を選ばずよく釣れます。
カラーはコパー、ブラス+グリーン、白ピンク等。
サイズは7g(ハーレーは8g)が個人的に好みです。

Luhr Jensen Krocodile Spoonルーハージェンセン・クロコダイルスプーン
昔はダーデブルと一緒に紹介されることも多かったのですが、今ではこちらの方がメジャーでしょう。
カラーバリエーションやサイズが豊富で、厚みのあるブランクはキャスティングでの飛距離をかせいでくれます。

また、ブランクに対応した深いカップを備え、重量があるにもかかわらず、激しいウォブリングアクションを
生み出しています。
私はキャスティングで使用していましたが、高速でのトローリングにも向いているかもしれません。

クロコダイルスプーンは、安定した大きなウォブリングを得意とし、遠投やその重量を生かした
ボトムトレースにも威力を発揮します。

また、このスプーンの形状を見れば、外形を極端に細くしたりしなくても、ブランクに適正なチューニングを
施すことによって、好適なアクションが得られることが良くわかります。

My Favorite Lures 2
Andy Reeker Trolling Spoon(アンディリーカー・トローリングスプーン)

初めて50cmオーバーのサクラマスを釣ったのがこのスプーンでした。
体高のある太った板マスで、ランディングネットがなかったため、どきどきしながら
ゴボー抜きしたのを覚えています。
大きなシングルフックがギャフのように機能してくれました。

ブラスとニッケルのツートンカラーで、幅広いブレードに2/0くらいの大きなシングルフックが付いています。
トローリング専用の非常に薄いブレードで大きなウォブリングとトリッキーなアクションを得意としています。

もともとアメリカから個人輸入したもので、今ではもう手に入らないようですが、ルーハージェンセンの
カナディアンワンダーが比較的近いような気もします。

この手の薄いブレードのトローリングスプーンは、ラインテンションの変化や障害物などによる水流の変化で
ヒラを打つため、トリッキーな演出が自然にできるようです。
また、軽いために根掛かりしにくく、そういう意味ではレッドコアラインによるボトムトレースにも適しています。

Luhr Jensen Hus Lure(ルーハージェンセン・ハスルアー)
異形長円の金属板をへの字状に折り曲げただけの極めてシンプルな形状をしていますが、渓流をはじめとする
その実績は、ここで語らずとも非常に多くのものがあるでしょう。

私は、2.5gのハスルアーをドジャーやカウベルに付けて使用したりしていました。
また、同じタイプのものが数社から出ており、アワビシートが貼られた物が格安で売られていたので、
小さめのシェルスプーンを切らしたときにはこれを使用したこともあります。

シンプルな形状がもたらす確実なウォブリング。特に、小型のハスルアーは小刻みに動いてトラウトを魅了します。

オリジナルのプリズムシールも効果的ですが、平板状のブランクには容易にアワビシートを貼ることができ、
これにより、さらにチューニングアップをすることが可能です。

BlueFox Pixee(ブルーフォックス・ピクシー)
レイクトローリングから少し離れますが、河川のような流れのあるところで
確実にボトムパンプをするのに実に適したスプーンです。
アラスカのリバーウォーターのサーモン釣りの定番であり、マッディな現地の川にマッチする
蛍光レッドや蛍光グリーンのカラーが多いのにもうなずけます。

現地では7/8ozや1/2ozを使用し、ラインのドラッグを利用して、
ボトムを転がすようにしながら、ゆっくりとリトルーブします。

SIWASH等のシングルフックに交換することにより根掛かりを大幅に軽減することができ、
サイズやカラーを選択することにより、日本の河川のサクラマス狙いにも使用することができるでしょう。

そのときには、中央のプラスチック部分を無垢のシェルに交換することによって、
すれた魚にも対応できるかもしれません。

Helin Flatfish(ヘリン・フラットフィッシュ)
ヘリンボーンタイプとして類別されるこの種のルアーには、ヘドンのタドポリーやタイニータッド、
レイジーアイクなどがあります。
ボディの一部に水流を受けながら泳ぐそのアクションには、ミノーでもバイブレーションでもなく、
クランクベイトの動きを極端に大きくしたような独特のものがあります。

アンバランス側ぎりぎりに迫るアクションは、小さな移動距離でより多くのウォブリングを
可能にするとともに、遅いスピードでも良好にアクションし、すれたトラウトを魅了します。

かつては、私も小さなフラットフィッシュ(F1~F4)をカウベルに付けて使用していましたが、
ドジャーやフラッシャーに付けても効果的だと思います。
アワビシートを貼り付け、チューニングしている人も多いと聞いています。

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