(FAQ128)
坂本ダムのディンギー
奈良県の坂本ダム、関西ではブラウントラウトとサツキマスで有名なV字渓谷のリザーバーです。
池原ダムの上流に位置し、大台ヶ原から流れる東の川の水を湛えています。

ベストシーズンの春先は水が少なく、垂直換算で30m以上のボートの上げ下ろしが必須です。
アルミのカヌーでさえ、1人ではきつい釣り場です。

そんな坂本ダムに、かつて私は小型ヨットのディンギーを置いていたことがありました。
このディンギーは手作りで、船体はFRP、デッキは合板でできていました。

全長は4mもないのですが80kgくらいあり、湖から担ぎ上げるのは無理なので、崖のようなダムの湖岸に置いていました。

坂本ダムは水の増減が非常に激しいところで、増水時に行ったときには、沖に浮いているディンギーをジグを投げて引っ掛け、回収して釣りをしたこともあります。

その日帰るときは、当然増水したままの状態なので、崖のそれなりの位置に長めのロープでつないで帰りました。

問題はその後、もの凄い減水時に行ったときのことです。
つないだときより相当水が減っていたので、ディンギーは崖にロープで吊された首つりの状態になっていました。

2人いたので、ロープを持って崖をすべり降ろそうとしていたところ、突然ロープが切れたのです。

かわいそうなディンギーは、30度はある急斜面を落ちていき、15m程下にあった段の部分で跳ねて、空中高く飛び上がりました。

その衝撃は凄く、バーンという大きな音がして、土煙とともにデッキや浮力材がバラバラになって宙に舞うのが見えました。

「やってしまった」と思いながら下に降りていくと、何とバラバラになったのは上だけで、下のFRP本体は何ともなく、舟の原型をそのままとどめていました。

さて、その日の釣果はすっかり忘れていますが、帰るときは当然減水したままの状態です。
それでも精一杯ロープを伸ばして、その先端を崖の上の方にくくって帰りました。

しかし、次に行ったときはまた増水で、ロープをくくった場所すら水没していました。
それでもボートは浮力材で浮いているはずなのですが、かつて崖落ちでバラバラになったディンギーは、浮力材もないため姿が見えませんでした。

あわれ私のディンギー、今は水没して坂本ダムの魚礁となっています。
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KID OF WIND 風小僧という名前のボートです。今は宮ノ平の沖に沈んでいます。